オギノート

「オギノート」は、シンプルなモノ・コトを中心に、フリーのデザイナーである小木が買ったものや考えたことを発信するWebメディアです。 小木が日々取り組んでいるデザインについて、PCやその周辺ガジェットについて、最近読んだ面白い本について、小木が目指していきたいミニマルなファッションと暮らしについてなど、様々なジャンルの記事を独特の視点と語り口で綴っています。

小木の学生物語③「大学の終わりと僕が学んだ多くのこと」

f:id:ogi_note:20181121235001p:plain「僕の大学生活」の第3段、完結編です。 前回の記事は「小木の大学物語② 自由に過ごした大学時代」です。

 

大学4年 ついに窮地に陥る

ついに大学も最後の年。 さて、僕の単位の状況はどうかな?

そう思って成績表を見たとき、目からビームが出ました

当たり前ですが、僕の単位はめちゃ少ない。 これまでの3年間、仮面浪人をしてみたり、単位にならない授業を受けてみたり、これまた単位にならないゼミでの研究に精を出したりしてきました。

そんな僕が、順当に単位を取得できているはずもなく、この1年を全力で過ごしても卒業できるか分からないくらいの負債を抱えていました。

さて、どうしたものか?

窮地に追い込まれた僕は、なぜかここにきて、本格的にデザイナーとして活動し始めるという超人的精神を見せ始めます。

というのも、この頃には周りの起業家などからデザインの依頼がちょくちょく来るようになっていて、どうしてもそっちの方が面白そうだったのです。 だからそっちに専念する、という単純にして身勝手な思考です。

(ここからは、ちょっと僕の後悔の念も入ってきます。)

実際にデザインを依頼されるようになると、もっと良いものを作らなければ、もっとデザインについて知っておかなければ、と思うようになりました。

やはり、デザインがちょっとできるとは言っても、僕は農学部の学生というだけの人物です。 「デザインの畑」の人ではなく「マジな畑」の人なので、そんな僕は人一倍努力してデザインを学び、より良いデザインを生み出す必要があると、強く思っていました。

ここで、「いやあんた、それ以前に大学の単位を生み出さなあかんやろ!」というツッコミが入らなかったのは、僕自身が大学から離れ、親からも離れ(逃げ)ていたからです。

そんな感じで、デザインにどっぷりハマっていく僕。 すごくたくさんの本を読み、いろんな作品を作り、いろんなジャンルのデザインに挑戦しました。

 

同時に、学外で作り上げたプロジェクトにも精を出すようになり、完全に大学から離れて自由に活動するようになります。

もう一言いますが、この時点で僕は自分の単位がヤバイことを知っています。 それを理解した上で、それでも自分の好きなように行動する。

一見、ちょっとカッコいい気もしますが、これは自分の嫌いなものから逃げ続けたいという僕の情けない考え以外の何物でもありません。

そして、最後の1年が終わりを迎える頃、春の便りと共に、明治大学様から自宅に「留年」を知らせる通知が届きました。

 

大学生活ロスタイムに突入

留年の通知を見た僕は、目からレーザーが出ました

よく考えて見たら当たり前のことなのですが、実際に「モノ」として通知が来るとかなりショックを受けるものです。

4年生の時のテストではあまり勉強せずに挑み、その結果ほとんど出来ずに単位を落としまくり、現時点で不足単位は20以上。 4年生が始まった時点で「ヤバイ」と焦って、しっかり大学に行っていれば卒業できたはずなのに、僕は自分のやりたいことを最も優先させました。

その結果がこれです。

最初は、「大学あと1年増えたwww ワロタwww」と、むしろラッキーくらいに軽く捉えていました。 が、報告のために実家に帰省する道中、家に近づけば近づくほど心がどんどん重くなっていき、到着した頃にやっと事の重大さを理解しました。

これまで、親には「卒業は余裕」と嘘をついて自分の好きなように生きてきた。 今更後悔しても遅いですが、常に巻き返すチャンスはあったはずです。

実家での話し合いを終え、残りの単位を半年で取り切るという約束を両親と交わし、僕は大学5年生となりました。

さて、これから半年、大学生だ。

大学が始まってからは、もちろんしっかり大学に行きました。 しかし、周りに友人や同い年の学生はいません。 全部一人で勉強して単位を取り切るしかありません。

この間も、デザインについての勉強は並行してやっていました。 大学が延長戦に突入しても、僕はデザインの依頼をこなしてスキルをあげて行きたいと考えていたので、色々頑張ってみました。

もちろん大学の勉強はしっかりやりつつ、です。

大学の延長戦は、ひたすら孤独です。 まさに、これまでの罪滅ぼしとでも言うべき苦行。

好き勝手やってきた僕が言えたことでもないですが、マジでキツかったです。 ひとりぼっちなので。

そんなこんなで、大学での勉強に専念しながら、デザインの依頼をこなして半年が経ち、ついにテスト期間に突入しました。

この時期は死ぬほど勉強しました。 高校3年の受験勉強に匹敵するくらいです。

ただ、あの時とはかなり状況が違います。 周りに一緒に頑張る仲間はいないし、勉強の目的も「プラスになるため」ではなく「マイナスにならないため」です。

そして、大学のテストというのは過去問や友人のノートで乗り切っていくものです。 ひとりぼっちになってしまった僕にはそれが使えないので、ひたすら勉強するしかない。

もちろん、こんな窮地に陥っている以上、周りの知らない人にノートを見せてもらったり、仲間内で流通しているであろう過去問をゲットするくらいの根性が必要ですが、ここにきて僕のプライドが邪魔をします。

留年しているということを知られたくない。 単位がピンチだということを知られたくない。

まさに、矮小なプライドというものです。

自分が病欠した分も補完できないので自力でなんとかし、出題範囲がわからない強化については教科書を全部覚えるという荒技を繰り出しました。

テストが大体終わって自分の部屋に帰った時、目からが涙が出ました。

自分のくだらないプライドのせいで、テスト対策がうまくできず、ぜんぜん手応えがありませんでした。 ものすごく良く見積もっても、テストで及第点が取れた教科はわずか。

半年で卒業するという約束を守れそうにない。 そう実家に電話をした時、母が電話口で「まだわからない」と言ったのを覚えています。 今から挽回しようと頑張れば、まだ間に合うかもしれない。

その瞬間に奮い立った僕は、そこからいろんな教授にメールを送ったり、直接お願いしに行ったりしました。 成績判定がつくまでの間に授業の参考書を読んでレポートを作成し、教授にそれを何枚も送りつけたりしました。

かなり迷惑だったと思いますが、何としても単位をかき集めるために、スーパーブラック営業 マンも驚きのアプローチを実行しました。

そして、結果、 半年で20単位以上を取りきって卒業となりました。

最後に僕がいろんな教授に頭を下げに行ったことで、ギリギリ卒業できたと思います。 本来であれば、そんなことしないでクールに卒業するべきでしたが、留年後もプライドを固持し続けた結果、最後にはプライドを捨てざるを得なくなりました。

不格好極まりないですが、それができるのとできないのでは大きく違うと、今では思います。 不要なプライドなら捨ててしまった方が良い。 重要なことに気がつきました。

まあ、留年してる時点でクソダサいですが。

色々とご迷惑をかけ、それでもサポートし続けてくれた両親には頭が上がりません。 本当に、ありがとう。

 

まとめ「僕が考える「大学」について」

そんな感じで、現在に至ります。

いろんなことに興味を持ち、いろんなことに挑戦し、変なルートを通って現在23歳。 いろんなものを手に入れながら、いろんなものを失ってきました。

僕の大学での学び方は、正しい学び方ではありませんでしたが、良い学び方だったと思います。

半年間の時間とお金が増えたことは反省すべきですが、あらゆる分野を学び、あらゆることに挑戦できた。

大学に入っても、自分は自分。 どんな大学にいても、どんな専攻に進んでいてもそこから違う道に進むことはできるはずです。

大学という制約の中にいても、自分はいつだって自由。 何を学び、何を考え、何を目指したっていい。

自分が学ぶ分野を制限されるなんて、冗談じゃない。

大学1年生の時は、SFCに入らなければ僕のやりたいことはできないと思っていました。 でも、SFCでは見えなかったことが見えたと思うし、ぞの大学に入ったとしても僕の行動次第でなんだって出来たんだと思います。

確かに、大学は専門分野を学ぶ場所です。 ですがそれ以上に、自分の「軸」を作る場所だと思います。

いろんなことに挑戦し、失敗し続けることで、自分の中に曲げてはならない「軸」が少しずつ見えてくる。 それを見つけて、これからを自分らしく生きる。

大学4年間はそのための踏み台でしかありません。

結局僕は大学卒業の証を手に入れましたが、これは規定の単位を取りきったという証でしかなく、そこにはこれまで僕が学んできた大切なものは刻まれていません。

大事なのは、今手元に残っていないものです。

 

 

はい、イイ感じの名言が出たところで、お開きにしましょう。

本シリーズを最初から読んでくださった方、この記事だけ読んでくれた人、この記事の最後の部分だけ読みにスクロールしてきた輩、本当にありがとうございます。

完全に自分ごとだらけの記事でしたが、楽しんでいただけましたら幸いです。